今月の赤ちゃん:ヤツメウナギ
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今月は5-7月に産卵期を迎えるヤツメウナギLethenteron japonicusです(写真1)。本当の眼の他に、7つの鰓穴が開いていることから「ヤツメ」ウナギと呼ばれます。
ヤツメウナギは、原始的な脊椎動物と考えられていて、顎をもっていません。写真2(ガラス水槽に吸い付いているところ)のように口は吸盤のようになっていて、魚などに食いついて、血を吸い取ったり、肉を食べる、寄生生活を行っています。北海道を中心に漁も行われており、写真3のように赤ワインソースで料理されたフランス料理などもあります。
ヤツメウナギは、顎をもたないことや、背骨が発達しないなど、原始的な特徴を残しているので、脊椎動物の進化の研究に使われています。当研究室でも毎年産卵させて、発生過程を研究しています。
成熟したメスのおなかを絞ると数万個の卵が出てきます。卵の大きさは直径1mm程度で、カエルの卵と同じくらいの大きさです。写真6は受精してから、10日程度のふ化する直前の胚です。矢印のところに頭ができてきています。
ふ化して1週間くらい経つと眼ができてきます(写真7の矢頭)。7つの鰓穴(矢印)ももう見えています。
写真8は、ふ化後1ヶ月半たったものです。眼(矢頭)と7つの鰓穴(矢印)で立派に「ヤツメ」になっています。鰓穴の後ろに心臓もできています(2重矢印。幼生の時期は、泥の中に潜って、泥の有機物やプランクトンを食べています。そのような幼生期を3-4年経て、10cmくらいに成長した後、変態して海に下り、魚に吸い付いて成長します。
脊椎動物に近いホヤやナメクジウオは、ものを画像として見ることができず、光がどちらの方向から来ているか、くらいしかわかりません。それに対して、原始的な脊椎動物であるヤツメウナギは、立派な眼を発達させて、ものを画像として見ることができるようになりました。画像を見ることができるようになると、その情報を処理する脳も発達する必要が出てきました。こうして、脊椎動物の脳は大きく発達しました。
でもヤツメウナギには、まだ私たちの手足に対応する胸びれや腹びれがありません(背びれなど、対にならないひれはあります)。
- 写真1
- 写真2
- 写真3
- 写真4
- 写真5
- 写真6
- 写真7
- 写真8
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