今月の赤ちゃん:クサイロアオガイ
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今月はクサイロアオガイというカサガイの幼生を紹介します。貝殻の内側がきれいな青色をしています。
磯でカサガイを見かけたことのある人は多いと思いますが、動いているところを見た人は少ないかもしれませんね。でも殻をはがして内側を見てみると、写真の矢印のところに丸くて小さな口が見えるように、立派な動物です。この口の中に歯舌と呼ばれる「やすり」のような歯があって、岩に付いた藻を削り取って食べています。
このカサガイは海の中に卵を産み出します。「貝の仲間とゴカイの仲間は、らせん卵割をする」と、高校の生物などで習ったことがあるかもしれません。でも、生物を研究する人の中でも、実際にらせん卵割を見たことがある人はごくわずかです。
カサガイの受精卵は4細胞になった時、自分以外の3つの細胞全てと接しているものが2つ(写真:右側と左側)あり、自分の向かい側の細胞とは接せず2つの細胞にしか接していない細胞が2つ(写真:上と下)できるのがわかると思います。この後の分裂がらせんのようになります。
4つの細胞が分裂して8つの細胞ができるとき、写真で見えるとおり、手前の4つの細胞と向こう側の4つの細胞が少しずれて並びます。らせんを描くように分裂することから、らせん卵割と呼ばれています。
このあと18時間くらい経つと、写真のような幼生になります。もう口もでき、繊毛と呼ばれる長い毛を使って泳ぎ回ります。そしてもうこの頃から立派な貝殻を背負っています。0.1ミリメートルにも満たない小さな宝石のような赤ちゃんです。
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